理想の仮想現実と、現実ならどっちを歩みたい?
時は西暦2355年。
AI技術は目覚ましい発展を遂げ、人々は望みを叶えてくれる様々な機械を発明していきました。
その1つが「ベストライフ装置」です。
この時代に生きるあなたは、ある日、こんなCMを目にしました。
『この”ベストライフ装置”に身をゆだねると、一生目覚めることはありません。
あなたの理想…いえ、それ以上の人生を夢の中で体験し続けることができます。
一度きりの人生、素晴らしい人生にしませんか?』
この装置について調べてみると、次のような装置であるとわかりました。
まず、装置の内部にある特殊な空間に身体を繋ぎます。ここに入ることで、自分の体から生み出されるエネルギーで夢を見続けることができるという仕組みで、現実の世界で衣食を必要としません。
つまり、現実の世界では、生産もしないけれど、消費もしないということのようです。あなたがこの装置に身を委ねることで、誰かに金銭的な負担などの迷惑をかけることはないと考えてよさそうです。
AIがあなたの望む人生を解析することで、その人にとっての素晴らしい人生を見続けることは本当とわかっているとします。
また、2355年に生きているあなたは、生きにくさを感じており、平凡と言うには足りないくらいの人生を、つまらないと感じながら歩んでいます。
この装置を使用しますか?
この装置の安全性は確実でAIの解析も見事なものです。これらについて、あなたは全く疑いを持っていないとして考えてください。
※この思考実験は、ワニブックスさんから出版させていただきました「究極の思考実験」に収録されています。解説もこちらの本のほうが詳しくしております。収録タイトルは「ベストな人生」。
何を聞かれているか?を考える
たとえば次のように「要するにどういうこと?」と聞かれたと想定して、どう答えるかを考えてみてください。
▼答えの例
仮想現実に入れば一生目覚めることはなく、生産も消費もしないから誰かに迷惑はかけずにすみます。仮想現実の素晴らしい人生か、現実のつまらないと感じている人生、どちらを歩みたい?
自分の意見とその理由を考える
どちらを選ぶかを決めたら、その理由を考えてください。
このとき、脳内で会話をするように思考を展開していくと、考えをすすめやすくなります。
なるべく論理的に脳内会話をしていきましょう。
⇒ロジカルに思考実験を考えるには
この思考実験のアンケート結果
独自に取ったアンケートの結果を掲載します。自分の意見とどう違うのかと深堀りしたり、違う意見の人の思考を理解しようとしたり、考えの幅を広げるように意識しながらご覧ください。
ベストライフ装置に身を任せたいとする人の意見
実際の人生も、楽しいとは思いますが、ベストライフ装置のような画期的なエコシステムが実用化されたら必ず使います。そもそも人間はエコではない生物だと思うので…。
生きにくくつまらない毎日を変えることができ、自分の理想の人生を夢の中で体験でき満足できるのであれば、ゆだねたてしまったほうが幸せと考えられるんではないかと考えました。
現実の厳しい世界で生きるよりも、空想の世界でも楽しいのならその方が良い。
現実の世界での生産と消費の価値をあまり感じないからです。
現実社会で、嫌なことばかりなので、人とかかわることを出来るだけ避けたいと感じるようになりました。装置に身をゆだねられたら、幸せです。
自分の前にこんな装置があったら、迷うことなく身をゆだねると思う。
確かに何も生産しないのだろうが、誰にも迷惑をかけることもない。
ただ自分にとって理想的な世界の中にこもるだけの無害な存在となるのではないか。
究極の現実逃避。心惹かれるものがある。
つまらないと感じていても現実を生きたい人の意見
自分の頭で考え、動けることが人生において重要と考えていますので、夢の中とはいえライフラインは保証されているものの、全てが拘束されるベストライフ装置は使いません。
その場で何が最善なのかを考え行動し、得られる結果が自分にとっての最善であると考えます。
そういう装置に身を委ねる人間は、生きていると言えるのかな? うまい話には裏がありそうと見ておいたほうがよさそう。つまらない現実を感謝しつつ生きたく思います。
つまらなく感じながらも何か現実で楽しみを見つけたほうが、死んでいるのと同じような生き方をしてるよりまだマシだと思ったから。
麻薬を使って幸せになるのとたいして変わらないような気がします。
それはただの夢であって本当の事ではないので、つまらない現実で十分です。また、ずっと成功し続けるよりも、失敗を糧に学んで成長し成功していけることが人間の本質であると考えるからです。
とりあえずの間は、つまらない現実を生きてみる。そのうち面白くなるかもしれないし、それでいざ本当につらくなってきたら、この装置を使えばいいと思えば気が楽になるかと。
夢はあくまでも夢、家族と関わることなく、1人で素晴らしい人生を過ごすのは、申し訳ないような気がします。
それよりも、つまらない現実のなかでも、家族で楽しいこと、嬉しいことを探しながら生活したいです。
この思考実験の最終的な答えは?
意見を読んで、どう感じたかを思考してみてください。
人によって、ここで意見を変えるかもしれませんし、やはり最初の意見を変えないかもしれません。
どちらが正しい意見ということもありません。大切なのは「自分の意見」を持ち、それを論理的に考えていくことです。
アンケート結果 割合と多数派
この思考実験のアンケートでは、次のような結果となりました。
装置を使用する…40%
装置を使用しない…60%
思考のヒントとこの思考実験のミニ解説
人生は生きていれば楽しいことも辛いこともあります。もし、楽しいことや嬉しいこと、うまくいくことが続けばエネルギッシュになれたり、満たされたりして幸せになれるでしょう。しかし、現実はそうはいきません。この思考実験の主人公である「あなた」は、平凡というには足りない人生を歩んでいますから、辛いこと、苦しいことのほうが多い状態でしょう。
もし、この時代に生きていて、平凡未満の人生を生きているとしたら、どう考えるだろう?と想像して答えを出していきます。
この思考実験では、幸せになることと、現実を歩むこと、どちらを大切とするかという選択をすることになります。
アンケートでは、現実を選択する人が多数派となりました。
生きているのだから、たとえつまらなくても自分の力で現実を歩み、生きる意味を見出したいという人が多かった印象です。一方で4割の人がベストライフ装置を使うと回答しています。現実を生きれば、他の誰かを幸せにすることもあれば、誰かに迷惑をかけてしまうこともあるものです。それならばいっそ、誰かを幸せにすることはなくても迷惑もかけないという選択をするのも、それで自分が幸せになれるのであれば、1つの人生としてありなのかもしれない、と考える人が多かったように感じました。
あなたの選択はどちらですか?
※この思考実験は、ワニブックスさんから出版させていただきました「究極の思考実験」に収録されています。