帰納法とは?
帰納法とは、多くの情報を元に、「こんな傾向があるね」と考えていく方法です。
たとえば、駅前のカフェについて、近所の知人からこんなことを聞いていたらどう思いますか?
落ち着いていていいカフェよ。フレンチトーストとコーヒーがおいしいわ。
パソコンを持ち込んで長時間居座ったけれど、感じよかったよ。
この辺じゃあ、一番いいカフェだと思うよ。
まあ、たぶんいいカフェなんだろうと思いますよね。これが帰納法の考え方です。
複数の情報を元に、傾向を推測し、結論を導き出していきます。
口コミは、帰納法での決断を導く手助けをするツール
お店や病院を選ぶとき、インターネットに投稿された口コミを参考にすることもあるでしょう。口コミを参考する場合は、その1つ1つがそのお店のよさを判断するための情報になります。
特に口コミの量が多ければ参考にする情報は増えることになり、たくさんの人が「おいしい」と投稿していれば、おいしいのかもしれないと思えてくるものです。
しかし、主にインターネット上の口コミは、もしかしたら自作自演かもしれないとか、よい口コミをくれたらサービスをするといって集めた口コミかもしれない、お金によって悪い口コミを消せるというサービスがあるかもしれない…と、疑おうとしたらいくらでも疑えます。情報の信用度はあまり高くはないと言えるでしょう。
インターネット上の口コミは信用しない、という人が多いのもこういった理由からです。
このように、「量」と「質」によって、情報の信頼度は変わっていきます。
アンケートも帰納法の情報源になる
たとえば、新商品としてチョコレートチーズケーキを作ったとします。試作品を3個作りました。それぞれA、B、Cとラベルをつけました。
ターゲットである女性の意見を集めるために、女性社員50人に食べてもらったところ、12人はA、29人がB、9人がCを最もおいしいと評価しました。
ここから、開発担当は、おそらく世の女性に最も人気があるのはBだろう、と判断しました。Bがおいしいという意見が最も多く集まったので、「Bががこの中で最も世の女性の支持を集めるだろう」と結論付けたということになります。
これも帰納法の考え方ですね。
帰納法で使う情報は、信頼度を見極める
帰納法は、多くの情報から、「確からしい情報」を見極めていく作業です。
たとえば、あるケーキを食べた20人が、「このケーキにはバターが使われている」と言ったら、多分バターが使われているのだろうと判断しますね。
しかし、21人目が有名なパティシエで、その人が、「このケーキにはバターではなくマーガリンが使われている」と言ったとしたら、おそらく、「ああ、バターを使っていると思われがちだが、本当はマーガリンが使われているんだろう」と結論付けるでしょう。
このように、情報の中から最も確からしい情報を推測していき、結論を導き出していきます。
帰納法で導き出した結論を元に演繹法を使う
演繹法は事実を積み上げていくことで、思考を進めていく方法ですが、仕事をしていく上で、事実だけを積み上げて思考ができる場面はそれほど多くはないでしょう。
そのようなケースでは、演繹法に使う「ベースとなる事実」に、帰納法で得られる情報を使用していくことになります。
例えば…
・大都市に住む人は、人間関係が希薄な傾向がある。
・胡麻を食べる人は寿命が長い傾向がある。
・今年は赤い服を着ている女性が多いから赤は人気がある。
・太麺を使っているラーメン店の売り上げが好調のようだ。
・多くの学者が将来世界中で食料の取り合いが起きると言っている。
どれも普遍的な、一般的な事実ではなく、傾向を示しいているにすぎませんが、こういった不確かだが信頼性は高いだろうと思われるような情報を元に演繹法で事実を積み重ねていき、結論を導いていくことで新たなビジネスが生まれていきます。
帰納法と演繹法は、どちらかだけを使うのではなく、両方を組み合わせて使ったり、意識して両方の考え方を使って考えてみることでより論理的に思考を展開していくことができるでしょう。