考えるということ

「ちゃんと考えて仕事をして」と言われるのはなぜ?

人はいつも考えている?

 「人間は考える葦である」というパスカルの言葉があるように、人は考える生き物です。
 職場で上司や同僚に「ちゃんと考えてほしい」と言われたとして、言われた本人は「いつも考えているのに」と思うかもしれません。
 反対に何も考えないで10分過ごせと言われたら、「これは難しい…!」と感じるでしょう。「どうやって10分をやり過ごそう?」と、うっかっり早速考えてしまいそうです。10分考え続けるほうが容易でしょう。

 しかし、「人はいつも考えている」は正しいでしょうか?

人はいつも思っている

 人は思うことは多く、毎日、毎時、毎分、毎秒何かを思っています。そして、思ったことがすぐにどこかに消え去り、次のことを思うのです。

 とくにボーッとしているとき、とりとめもなくさまざまなことが頭に浮かんではそのことを思い、そして消えていきます。これは脳がいろいろな情報を整理したり、記憶から呼び出したりしているからです。

「考えろ」と言われても、「いつも考えている」と感じている人は、「思っている」状態を「考えている」と捉えてしまっている可能性があります。

 脳はいつも何かを思っている臓器です。しかし、思っているだけでは考えていることにはなりません。

考えると思うは違う

 「考える」とは、頭を働かせてそこから推測をしたり、ロジカルに思考したり、何かを判断したりと、集中力を使う脳の働きです。

 一方で「思う」にも考えるという意味は含まれていますが、全体としては心に留めるとか、違和感を持つとか、気が向くとか、想像するといった意味合いが強くなります。

ビジネスでの「考える」は、「思う」だけでは足りない

 「考えて仕事している?」と言われてしまう人は、「考えている」つもりでも、「思う」の範疇を越えていないのかもしれません。

 ただただ何かに気を向け続けているだけであったり、想像したり思いを巡らせることはしていても、そこから何の決定もせず、決断は他人に任せていたり、わからないことを片っ端から上司や同僚に聞いていたりしている可能性があります。

「わからない」から聞くのではなく、「考えてもわからない」から聞く

 たとえば、言葉の意味が解らなかったら人に聞くのではなく辞書を引きますね。仕事におけるわからないことはこのレベルではありませんが、何とかわかりそうな内容であれば、一度自分なりに解決できないか調べてみて、一定の結論を出してから聞くほうが、指示をだした上司も話がしやすいでしょう。
 なぜなら、人はイチから説明するより、違いを見つけて指摘するほうが楽だからです。
 「これってどういう意味ですか?」
 と聞かれれば、まず聞かれた内容を把握し、その上で、その説明を脳内で組み立ててイチから話す必要があります。
 「これって、これこれこういう意味ですか?」
 と聞かれれば、「あーいや、ここの部分はこうで」と違う部分だけを話せばよくなります。
 人の「考える力」は無限ではなく、体力と同様の消耗品です。相手に負担を掛けない聞き方ができる人には、「考えて仕事をして」とは言えないはずです。

それでも「考えているのに」と感じるなら?

 思うとか想像するレベルではなく、深く考えているし、ちゃんと考えているのに「ちゃんと考えて」と言われてしまう…。それにはいくつかの原因があります。 

このタイプの人は、思っているだけではなく、たしかにもっと深く頭を働かせています。

 その中には5つのタイプがあります。1つは「難しすぎて思考停止」、もう一つは、「悩んでしまっている」、3つ目は「考える環境が整っていない」、4つ目は「考えることが定まっていない」、最後の1つは「気づかない」です。

 この5つの解説と解決法は次回から行います。

 1.難しすぎて思考停止
 2.悩んでしまっている
 3.考える環境が整っていない
 4.考えることが定まっていない
 5.気づかない

まとめ

・「考える」と「思う」は異なる
・「考える力」は消耗品
・「わからない」から、「考えてもわからない」へ
・「人間は考える葦」だが、普段はいつも「思って」いる